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夏!住宅の節電対策~後編(省エネ住宅化しよう)~

新潟は本日梅雨明け、いよいよ夏本番となります。
皆さん、電力消費量のピークは夏と冬のどちらにやってくるかご存じでしょうか。実は月別最大電力の推移をみても、電気消費量の伸びが大きいのは7月~9月の冷房期なのです(*1)。お財布に厳しい夏の電気代・・・。前回のコラムでは「夏!住宅の節電対策~前編~」と題して、ご家庭ですぐに取り組むことのできる節電対策9つをご紹介しました。その中で「家庭の電力消費割合はエアコンがナンバー1」だとお伝えしましたが、いくらエアコンの消費電力が高いからといっても「ちょっと我慢しよう」などと適切な空調をやめてしまうと今度は健康を損ねてしまいます。

前回お伝えしたような「すぐできる節電対策」の積み重ねは大切です。しかし、無理なく消費電力を抑えたいなら「住宅の省エネルギー化(最初からエネルギーが少なくて済む工夫をすること)」は必須です。今回は住宅の節電対策~後編~として「省エネルギー住宅」のための4つのアイディアをご紹介します。

 

目次

1.住宅の省エネルギー化に必要な要素3つ
. 1-1.断熱
. 1-2.日射遮蔽
. 1-3.気密
2.窓回りを対策する
. 2-1. 窓の断熱・遮熱性能を高める
. 2-2. 軒の深い屋根を採用する
. 2-3.「シェード」で遮光する
3.空調効率を上げる(全熱交換型の換気設備を採用する)
4.まとめ

 

住宅の省エネルギー化に必要な要素3つ

冒頭でもお話したように、家庭では冷暖房設備に多くの電力が使用されています。「省エネルギー住宅」とは、いわば冷暖房エネルギー消費を抑制することができる住宅です。つまり「空調負荷の抑制につながるもの」を探すことが省エネの鍵となってきます。
空調負荷抑制を行うためには「断熱」「日射遮蔽」「気密」の3要素が重要です。ここでは考え方のベースとして、この3要素をかみ砕いてご説明します。

 

断熱

「断熱対策」とは住宅内外の熱の移動を少なくする対策です。
そもそも熱は「高い物体から低い物体へ流れ、温度が同一(熱均衡状態)になると移動がなくなる」という性質を持っています。このため夏であれば外の暖かい空気が住宅内に流れ込もうとするし、冬であれば住宅内の暖気が外へ逃げようとします。つまり夏場は壁や天井などから流れ込んでくる暖気をひたすらエアコンで冷ましている状態です。
夏であれば断熱(熱移動を減らすこと)で余計な冷房負荷を抑制することができ、効率良く空調を行うことができます。なお住宅の断熱性能は「UA値(外皮平均熱貫流率)」で判断できます。数値が小さい方が断熱性能は高くなります。

 

日射遮蔽

夏に室内温度が上がる一番の要因といえば、外部からの日射熱です。このため「いかに太陽の日差しを遮るか」が室温上昇を抑制するための重要な要素となってきます。住宅の日射遮蔽性能は「ηAC値(冷房期の平均日射熱取得率)」で判断できます。数値が小さいほど「熱が入ってこない=省エネ性能が高い」ということになります。

 

気密

気密対策は、住宅の外皮(外周部分)にある「隙間=空気の通り道」を減らす対策です。住宅に隙間があると、室内外を移動する空気と一緒に熱が出入りしてしまいます。
「壁の隙間から外の光が見えるくらい隙間だらけの古民家を冷房する」のと「一般住宅を冷房する」のはどちらの負荷が大きいかを想像してみてください。古民家では、冷房しても冷房してもどんどん暖かい空気が入ってきてしまい部屋が冷えてくれないのが簡単に想像できると思います。
この例は極端でしたが、一般住宅同士の比較も原理は一緒です。気密の良し悪しが冷暖房効率に影響を与えます。気密性能は「C値」で表します。数値が小さいほど高気密です。

 

窓回りを対策する

開口部は住宅の中でも特に熱の出入が大きい部分。「冷房期に室外から侵入してくる熱」の約7割は窓からです。つまり「夏暑い!」の約7割は窓が犯人ということ。このため開口部の断熱性能を高めることが空調負荷の低減に効果的です。ここでは具体的な方法を3つお伝えします。

 

窓の断熱・遮熱性能を高める

一口に窓と言っても商品によって断熱性能・遮熱性能は様々です。
窓の断熱性能は「ガラス」と「サッシ(フレーム部分)」の組み合わせによって決まります。商品説明を並べてパッと比較したいときは下記を参考にしてみてください(ある程度ざっくり書きました)。

窓の断熱

〈主なサッシの断熱性能〉
アルミサッシ < アルミ樹脂複合サッシ < 樹脂サッシ < 木製サッシ
(おすすめはアルミ樹脂複合サッシ以上)

「木製サッシ」は国内より海外で見られるサッシです(実は日本のサッシ性能基準は海外より低めです)。日本は高温多湿で腐食等の恐れもあることから、扱うには注意が必要です。窓よりは、どちらかというと「引っ込んだポーチ(屋根のあるポーチ)に木製玄関ドアを設ける」方が施工実例として見る機会は多い気がします。
近年一般的になってきたのが「アルミ樹脂複合サッシ」です。室外側はアルミ、室内側はアルミよりも熱を通しにくい樹脂を用いています。「さらに断熱性能を上げたい」となったときに候補に上がるのが「樹脂サッシ」。オール樹脂のため、アルミ樹脂複合サッシよりも熱移動が少なく快適にお過ごしいただけます。
断熱性能を求めない外部(ポーチや車庫など)は「アルミサッシ」を採用することで費用を抑えることができます。

〈主なガラスの断熱性能〉
単板ガラス < 複層ガラス < Low-E複層ガラス < ダブルLow-Eトリプルガラス
(おすすめはLow-E複層ガラス以上)

複層ガラス・トリプルガラスは複数のガラスの間に中空層を持たせたガラスです。
複層ガラスは「ガラス2枚の間に1つの中空層」、トリプルガラスは「ガラス3枚の間に2つの中空層」で構成されています(中空層が断熱の役割を担っています)。少しマニアックですが同じ複層ガラスでも中空層に何が入っているか(空気・各種ガス)で断熱性能が変わります。注意点として上記性能比較には例外に「真空ガラス」というものも存在します。真空は熱移動が起こらないため非常に断熱性能が高くなります(価格も高いのですが・・・)。

次は遮熱性能について。
上述した「Low-E(ロウイー)」とはガラスにコーティングする特殊金属膜のことです。Low-E膜には赤外線や紫外線をカットする特性があります。遮熱性能を求めたい場合はLow-Eガラスの採用がおすすめです。
またLow-E膜は中空層の室内側か室外側かでも遮熱性能に差が生じます(室外側にコーディングした方が高遮熱です)。例えばLIXILのサーモスⅡ-Hは同じグリーンのLow-E膜でも室内外を選ぶことができるため、色合わせをした上で室外側タイプを「遮熱(日射遮蔽に振り切った窓)」・室内側タイプを「断熱(冬場の暖かい日差しは欲しい窓)」と使い分けることも可能です。

 

軒の深い屋根を採用する

こちらは物理的に日射遮蔽を行う方法です。屋根の軒の出を利用して太陽光を遮るため、必要な軒の深さは窓の設置高さや建物方位に影響を受けます。
例えば「建物南面に1グリッド(91㎝)多く軒下空間を設けて、玄関への外部アプローチを兼ねる(南側を深めの軒下空間にして、ついでに道路から玄関までの通り道にしてしまう)」と特に夏は窓際空間の快適さが向上します。
ただし、軒の深さによっては冬場の日射取得を妨げてしまうこともあるため、日射効果を狙って取り入れる場合は少し注意が必要です。気になる方はご相談ください。

 

「シェード」で遮光する

窓外にシェード(外付け日よけ)を設けるもの一つの手です。
昔ながらの“すだれ”の現代版と思っていただければわかりやすいかと思います。日差しを遮って、室内の温度上昇を抑える効果があります。普段は窓上のボックスに格納しておき、必要な時期だけさっと引き下げて使うことができる製品です。例えばLIXILなら「スタイルシェード」、YKK APなら「アウターシェード」と各メーカーから商品がでております(「メーカー名 シェード」で検索すると出てきます)。

 

空調効率を上げる(全熱交換型の換気設備を採用する)

空調負荷抑制には換気設備の選定も重要です。
夏場に通常の換気設備を使用した場合、せっかくエアコンで冷やした空気はそのまま排気され、排気された分だけ暖かい外気が給気されてきます。原則24時間換気のため、換気扇はつけっぱなし。外気温によっては「冷やしたそばからどんどん暖かい空気が入ってくるため、一向に室内が冷えてこない」という状況になることも。

この状況を改善できるのが全熱交換型の換気設備です。全熱交換型の換気設備では、冷暖房で快適に保たれた室温を再利用(熱交換)しながら空気を入れ替えることができます。つまり、排気する空気の冷たさを給気の空気が回収するので「外気の熱い空気がそのまま入ってくることなく、排気空気の冷気をもらってほんのりヒンヤリした空気が給気されてくれる」ということ。これにより、換気による温度や湿度ロスを抑制することができるため、エアコンの空調負荷も軽減でき省エネ効果が期待できます。
全熱交換には「熱交換素子」という特殊なフィルターが使用されており「給気の層」と「排気の層」がミルフィーユのように交互に重なった構造となっています。この素子も熱交換率によって80%・90%などグレードが分かれています。割合が高いほど高効率です。ちなみに、ハンズワタベの新築仕様では「熱交換率90%の全館換気システム」を採用しています(2023年7月現在)。

 

まとめ

今回は節電を目的にした「住宅を省エネルギー化するための方法」を一部ご紹介しました。他にも断熱材のグレードや断熱工法の選び方により外皮(建物の外周部分)の断熱性能を上げることが可能です(長くなるので今回は割愛です)。
この度お伝えした「後編」は住宅のプラン段階から検討しなければならないものが多く含まれた内容となっています。特に住宅の断熱は「住み心地に大きく関わる」かつ「後から変更するのがむずかしい(改修工事対応になる)」要素です。省エネルギー住宅とすることにより「住み心地の向上」や長期視点での「ランニングコスト抑制」が望める一方、イニシャルコスト(初期費用)が嵩んでしまうのもまた事実。
どのレベルの住宅性能を求めるか、他の要素との優先付けを行い、自分の中で落としどころを決めていただけたら幸いです。ハンズワタベでは「住宅性能別での商品プラン」をご用意しております。お気軽にご相談ください。

 

〈参考HP〉
*1:電気事業連合会HPhttps://www.fepc.or.jp/enterprise/jigyou/japan/

OGスタッフOG staff

日常の「めんどくさい」を撃退すべく、心と身体が快適に生活できる方法を日々研究中の一級建築士(ハンズワタベOG)。お片付けマニアで「家を整えること」「楽できる方法」を考えるのが大好き。小児喘息の経験から片付けやすく掃除しやすい部屋作りを得意としている。
〈資格〉一級建築士、インテリアコーディネーター、整理収納アドバイザー2級、住宅収納スペシャリスト、ライティングコーディネーター、色彩コーディネーター2級、福祉住環境コーディネーター3級

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