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失敗しない間取りづくり~動線計画編~

家づくりで具体的な間取り検討をする際に重要なものの1つが「動線」です。住宅における動線とは「空間から空間を人が移動するときの経路」のことをいいます。住宅は毎日の生活の基盤となる場所。動線計画が自分の生活に合っているかどうかで、暮らしやすさが変わってきます。今回は注文住宅で間取りを具体化していく際に頭へ入れておきたい「動線の種類」と「動線計画の考え方」についてお伝えします。

 

目次

1.動線の種類
2.家事動線
. 2-1.「家事」を知ろう
. 2-2.ラクになるためのポイント
3.来客動線
. 3-1.基本の考え方
4.生活動線
. 4-1.通勤動線
. 4-2.衛生動線
5.まとめ

 

動線の種類

間取りに関わる動線には大きく分けて3つの種類があります。

1つ目が家事を行う際の移動経路をあらわす「家事動線」。2つ目が家族以外のお客様がいらしたときに通る経路である「来客動線」。3つ目が生活の中で起こる家事以外の移動全般に使用する「生活動線」です。この3つについて、それぞれ動線計画の考え方をご説明します。

 

家事動線

にまつわるお仕」と書いて「家事」です。家事は毎日の生活を維持するために必須となる事柄。限られた時間の中で捌かなければなりません。このため「家事動線」は3つの動線の中でも特に生活の利便性に対する影響度が大きい動線といえます。つまり家事動線を効率化することが、家事ラクでストレスの少ない生活に近づけるポイントとなります。

 

「家事」を知ろう

「家事動線」を考えるには、まず「家事」を具体的に思い浮かべる必要があります。「料理・掃除・洗濯」だけでなく多岐にわたる家事。例えばこのようなものがあります。

 

【食について】
献立決め、買い出し、買ったものを冷蔵庫や食品庫にしまう、調理、食器片付け、ゴミ出し

【洗濯について】
洗濯機を回す(汚れがひどかったら予洗い)、洗濯機からかごに取り出す、物干しまで運ぶ、干す、取り込む、たたむ(必要ならアイロンする)、しまう

【掃除及び衛生管理について】
各部屋の床掃除、キッチンの掃除(コンロ・シンク・排水溝・ワークトップ※作業スペース)、風呂掃除、エアコン・換気扇の掃除、洗剤やペーパーストックなど消耗品の補充

【家族の世話について】
子供の各種世話、高齢家族の介助、ペットの餌やり、ペットの散歩(室内飼いなら足をふく)

【季節の変わり目、定期作業について】
衣替え、置き型設備(扇風機・こたつなど)の入れ替え、草刈り、電球・電池交換など

 

書き出してみると具体的に想像できるようになります。

この機会にご家庭の家事を一度書き出してみることをおすすめします(面倒で無理!という方はぜひこのページをご家族一緒にご覧ください)。上記以外にもいわゆる「名もなき家事」は数多に存在します。家族で暮らしているなら、到底1人でやる作業量ではないことが分かると思います。家族で家事を共有化することも考えながらプラン検討することが入居後の生活をより良くすることに繋がります。

 

ラクになるためのポイント

ここからは、ご家庭の「家事」の中から効率化できる家事動線がないか考えてみましょう。

ポイントは「なるべくまとめて」「なるべく短く」してあげること。
上に列挙した家事動作の中で「一連の流れ」になっている動作を探し、まとめます。その中で動作頻度の高いものについてプランの優先順位を上げていくと、生活負担の大きいものから楽になっていきます。

 

例その1【洗濯について】の家事動線
これが全部別の部屋なら相当負担ですが、ランドリールームを設けて「洗濯機を回す~たたむ」までを一部屋で完結させたら、相当家事がラクになります。「しまう」は各自で部屋にもっていくルールにすれば、なお楽です。さらにファミリークロークをランドリールームに近接して設けて「毎日着る日常服だけをしまう」方法にしてしまえば、さらに「しまう」の負担が減ります。

 

例その2【ペットの世話】の動線
毎日「散歩準備~散歩~浴室で足を洗ってあげる」が一連の流れとして決まっているのであれば、玄関と浴室までの動線はなるべく短くしてあげます。余裕があれば玄関土間を扉で仕切って「散歩に必要な持ち物一式置き場」を作り「足洗いシンク」を設置してしまう(まとめてしまう)と毎日の負担を削減することができます。

 

例その3【乳児の世話】について
寝室が2階、洗面化粧台が1階というケースは多いです。夜中にぱらぱら起きながら「授乳をする」具合が良くなければ「吐いてしまったものの片付け」など「水場が近い方が少しでも楽なのに」という場面は意外と多いと思います(自分自身が体調を崩しているときも同様です)。2階のホールにちょっとした洗面台を設けてあげると水場までの動線がぐっと短くなって気持ち的にも楽になります(2階にトイレがある場合は手洗いをホールに出せば兼用できて◎)。

 

来客動線

次に「来客動線」についてお話します。来客動線とは家族以外のお客様がいらっしゃった際の動線になります。プランニングの際は家族の動線(家事動線、生活動線)へ目が行きがちになるため、住み始めてから「あっ!」となりやすいのも来客動線です。日頃から来客の多い家、そうでない家で優先度は変わってきます。

 

基本の考え方

来客動線は「他の動線と交差させない」「プライベート空間を見せない工夫をする」の2点に配慮します。
しかし間取りの都合で動線交差の解消が難しい場合も多いので「できるようなら取り入れる」「気になって仕方がないなら優先する」くらいの心づもりで考えることをおすすめします(雁字搦めになって、もっと優先度の高い重要な要望を見失わないようにするためです)。

 

例その1【生活動線と来客動線が交差してしまうケース】
2階にトイレが無い住宅の場合。2階の子供部屋から「1階のトイレに行きたいのだけれど“お客様が来ているリビング”を通らないと玄関横のトイレに行くことができない」。

 

例その2【プライベート空間を見せない工夫】
「お客様に手洗いをして欲しいけれど、洗面脱衣室にしか手洗い場がない。キッチンだとそれこそプライベート丸出しだし・・・」という場合は「玄関横の手洗い設置」もしくは「脱衣室と洗面スペースを別空間として計画」することをおすすめします(後者は最近のトレンドでもあります)。

 

生活動線

「リビングから子供部屋への移動」「玄関から手洗いまでの移動」など、家事以外の生活動作に関わる動線全般が「生活動線」です。ここでは生活動線の中でも住み心地に影響の大きい「通勤動線」「衛生動線」についてご説明します。

 

通勤動線

起床して仕事や学校に出かけるまでに通る経路のことです。出勤・登校の時間帯が近いほど、いろいろなところで動線が重なって「毎日朝から大喧嘩」のような事態になることも。

鏡の取り合いになるなら「一度に2人の支度ができるように洗面台の“ミラーだけは”大きめにする」。学校に送り出さなきゃいけないのに荷物があっちこっちにあって忙しないなら「ファミリークロークか玄関収納に“いつもの鞄”“いつもの荷物”をまとめておく」ことで2階に動線が戻らない工夫をするなど、配慮をしておくと良いでしょう。

 

衛生動線

生活動線の中でも「トイレ」「浴室」「手洗い」など衛生管理に関係するものをとりわけて衛生動線と呼んでいます。

トイレに行くまでの動線は【生活動線と来客動線が交差してしまうケース】で挙げた例のように場所によって使いづらくなることも。「1階のトイレが使いにくい状態」をあらかじめ想定できる場合は2階にトイレを設置しておくなど配慮が望ましいです。
また2階のトイレはホールや階段の降り口横に設置されることが多いです。高齢であったり視力低下していたりする家族がいる場合は、夜間のトイレ利用に配慮し「足元灯の設置」や「センサー照明の採用」など、転落防止を行うことをおすすめします。

「帰宅してからの手洗いするまでの動線」については①最短動線にするために玄関に設ける方法、②洗面スペースと兼ねる方法があります。手洗い場が増えればもちろん清掃やメンテナンスも増えるため、維持管理や費用面も考慮して計画を行うことが大切です。

 

まとめ

今回は間取りづくりにおける「動線計画」についてお伝えしました。
家づくりについて何かを参考にしようと思ったとき「インテリアやクロス等の内装プラン」は数多あるSNS・ポータルサイトや紙面から潤沢に情報を得ることができます。ハンズワタベもInstagramやピンタレストで施工例をご紹介しているので、実物を見なくともある程度のイメージは可能な状態になっています。

しかし、動線については現地で肌感を確かめるのが一番だと考えています。「ここからここまで何歩で済む」や「ちょっと遠いな」のような直観的な体感をすることができるからです。実物件を見ることのできる機会があったら、そういった観点からもご覧いただくと実りが増えるかと思います。

だた、実例を参考にする中でひとつ覚えておいていただきたいことがあります。
それは「人によって動線計画の優先順位が違う」ということです。

例えば、どこかの見学会に行ったとしましょう。
そのとき見学者側は「うーん・・・脱衣室から洗濯機のある物干しが遠い。服を持っていくのが重そう・・・どうしてこのプランにしたの?」と感じてしまったとします。でも住み手側にとっては納得のいくプランでした。それは「服が汚れる仕事だから脱衣室・浴室は玄関と近い方がいい。それは譲れない。でもLDKはこのサイズで欲しい。そうすると脱衣室と洗濯機は遠くなってしまうけれど、ここはLDKを優先したい」という順位づけをしていたからです。

見学者側は「家事動線」を気にして見ていたけれど、住み手側が重視していたのは「生活動線(衛生動線)」。重視する動線が違うだけで、同じ間取りなのに「快適な家」にも「そうでない家」にもなりえます。見学会で自分の引っかかったところは「自分が重視したい要素」である確率が高いです。他の人の考え方を否定するのではなく「自分の優先順位を確かめる場」にしていただけると幸いです。

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日常の「めんどくさい」を撃退すべく、心と身体が快適に生活できる方法を日々研究中の一級建築士(ハンズワタベOG)。お片付けマニアで「家を整えること」「楽できる方法」を考えるのが大好き。小児喘息の経験から片付けやすく掃除しやすい部屋作りを得意としている。
〈資格〉一級建築士、インテリアコーディネーター、整理収納アドバイザー2級、住宅収納スペシャリスト、ライティングコーディネーター、色彩コーディネーター2級、福祉住環境コーディネーター3級

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