住宅新築工事の見積もりについて
今回は住宅新築工事の見積もりについてご説明いたします。
住宅の見積ってわかりにくいですよね。
数社見積を取られている方はなおさらです。
A社は専門用語を使った項目が多すぎてよくわからない、B社は項目が少なすぎて何が含まれているのかわからない、C社は住宅以外にかかる費用も含まれていてよくわからない。
建築会社の数だけ見積があり、ルールもバラバラ、最終的によくわからないから値段だけで決めてしまい失敗してしまう。というケースがあるかと思います。
ここではハンズワタベの見積もりをもとに、できる限りわかりやすく解説していきます。
目次
ほとんどの建築会社の見積もりの最初に出てくる項目がこの建築本体工事です。しかし、だからと言って統一したルールはありません。
ここには何が含まれて、何が含まれていないか、建築会社により違いがあります。
なので、なかなか定義づけすることは難しいのですが、あえて言うのであれば「その住宅を建てる際、どこの場所・土地に建てても変わらずかかる費用」です。
同じ形の住宅を建てる場合、場所・土地が変われば価格は変わります。わかりやすいところで言うと、「地盤改良工事費用」です。
強固な岩盤の上に住宅を建てる場合は地盤改良工事が不要になりますが、粘土ばかりの軟弱地盤の上に住宅を建てる場合は地盤改良工事が必要になります。
これだけで約100万円程度変わってきますので、多くの建築会社は地盤改良工事を建築本体工事の中には入れていません。
逆に同じ形の住宅を当初計画していた土地ではない別のところに建てるとしても、材木代や大工作業費が変わることはほとんどありません。
沖縄に建てようとしていたものを北海道に建てるとなれば別ですが。
というように「その住宅を建てる際、どこの場所・土地に建てても変わらずかかる費用(但し建築会社により違いあり)」が建築本体工事費用です。
ここでは建築本体工事費用を具体的に建築会社の見積書の中で見ていきます。と言いましても他社の見積を説明するわけにはいきませんので、ハンズワタベの見積をもとに解説していきます。
建築本体工事費を簡単に表すと
となります。分けがわからないですよね。見積もりを解説していきます。(※参考価格のため、実際の金額とは異なります)
2-1.基本本体工事
1階2階というのは総2階部分の面積になります。
当社では「坪」という単位で表しています。(1坪はタタミ2枚分、8帖の部屋であれば4坪になります)
この坪単価がキッチンやお風呂の仕様や住宅の基本性能、工務店やハウスメーカーにより上がったり下がったりします。
例えば1階が20坪、2階が20坪の総2階40坪の住宅で坪単価が40万円だった場合
基本本体工事Aは40坪×40万円=1,600万円になります。
2-2.跳ね出し部工事
ここは建物の中で屋根のない玄関ポーチ、基礎や屋根のないバルコニーの面積が入ります。
屋根や基礎がない部分になりますので、当社では①基本本体工事で説明した坪単価から10万円ひいた価格が入ります。
例えば屋根のない玄関ポーチを1坪、2階にバルコニーを1坪設置した場合
跳ね出し部工事Bは2坪×(Ⓐ40万円-10万円)=60万円になります。
2-3.下屋部工事
ここは1階はあるが2階がない部分の面積が入ります。平屋や下屋は割高というのはここが関係してきます。
当社では①基本本体工事で説明した坪単価から+10万円した価格が入ります。
例えば1階に和室を設けたり、リビングを広くして2階より1階が4坪分広くなった場合
下屋部工事 1階(下屋)Cは4坪×(Ⓐ40万円+10万円)=200万円になります。
2-4.2階オーバーハング
オーバーハングというのは1階よりも2階が張り出した部分の面積が入り、当社では①基本本体工事で説明した坪単価から5万円ひいた価格が入ります。
例えば2階に物干し部屋を作ったり、寝室を広くして1階より2階が2坪分広くなった場合
下屋部工事 2階(オーバーハング)Dは2坪×(40万円-5万円)=70万円になります。
よって
A(1,600万円)+B(60万円)+C(200万円)+D(70万円)=1,930万円 これが建築本体工事の価格となります。
次に坪単価について解説していきます。
建物の広さ(工事面積)と坪単価をかけ合わせると「建築本体工事費」がでます。
そしてこの坪単価が各社バラバラで、また同じ会社においても建物の大きさや仕様の違いにより変わってきます。
3-1.建物の広さと坪単価
① 建物の広さ(工事面積)が広くなればなるほど、坪単価は下がります。逆に言うと建物が狭くなればなるほど坪単価は上がります。
坪単価の中に何が含まれているかは建築会社によりバラバラではありますが、例えばシステムキッチンは坪単価の中に含まれているとします。
建物が広くなっても狭くなってもシステムキッチンは基本1か所です。(二世帯住宅などの場合は除く)
建築会社はシステムキッチンをメーカーあるいは問屋から購入し設置するのですが、建物が広くなっても狭くなっても建築会社がシステムキッチンをひとつ購入する価格は変わりません。
坪単価が建物の広さにかかわらず40万円で、キッチン購入価格が100万円だった場合は
「広さ40坪」×「坪単価40万円」=「本体1,600万円」
「キッチン100万円」/「本体1,600万円」=「本体の中のキッチン購入費用の割合6.25%」
「広さ20坪」×「坪単価40万円」=「本体800万円」
「キッチン100万円」/「本体800万円」=「本体の中のキッチン購入費用の割合12.5%」
と、本体工事費中のキッチン購入費の割合が2倍近くになります。割合を同じくするには広さ20坪だと坪単価を80万円に上げなくてはいけません。
今はキッチンだけの極端な話をしましたが他にも、洗面台、トイレ、窓、ドア、照明、給湯器などの機器類の他、大工さんや設備屋さん他多数の作業費も含まれ、ひとつの項目に対する割合が高くなりすぎるとほかの物を買えなくなってしまいます。
このように建物が広くなれば坪単価が下がり、建物が狭くなれば坪単価は上がるという仕組みをとっている建築会社が多いです。
3-2.部屋数と坪単価
部屋数が増えれば坪単価は高くなり、部屋数が減れば坪単価は下がります。
これはシンプルで分かりやすいです。
例えば全体の大きさが同じ住宅があった場合、部屋数が増えていけば、ドア、窓、材木やその他建材が増えていくので金額も変わっていきます。
極端な話をすると建築本体工事費を抑えたい方は下図のような総2階で住宅全体を考え、間取りは1,2階ともにワンルームです。
玄関を開けたらLDKが目の前に広がり、トイレ、洗面、ユニットバス、階段が見渡せる間取り。
2階も階段を上ると仕切りのないワンルームに家具やベッドをいくつか並べて寝室にする間取りです。
ただ多くの人は玄関にはシューズクロークが欲しい、洗面室の隣には物干しスペースが欲しい、2階にもトイレが欲しい、ウォークインクローゼットが欲しいと色々な要望がある為、住宅はどんどん下図のような形になっていきます。
大切なことは、自分たち家族の要望は何か、将来どんな暮らしがしたいかをしっかり話し合い、それに優先度をつけ取捨選択をすることです。
この優先度づけと取捨選択は建物の広さ、間取だけではなく性能、設備、内装などなど、このあと次から次へと出てきます。自分たちの希望を聞き、的確なアドバイスをしてくれるパートナー(建築会社)と出会うことも家づくりをするうえで大切なことのひとつです。
土田 一雄tsuchida kazuo
大学で経済を学び、専門学校でプログラミングを学び、通信会社で法人営業を経てハンズワタベに入社する。リフォーム営業監督2年、新築監督2年を経て、新築営業10年目。打合せ前には「○○様大好きです」と10回唱え、打合せ中は「3分毎にひと笑い」を心掛け、笑顔の絶えない楽しい打合せを信条としている。花火と野球とカレーが大好きな小千谷生まれ長岡育ち、一男一女の父。
〈資格〉損害保険募集人、玉掛け技能講習修了
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