UA値・C値・断熱等級とは？性能用語解説

家づくりを始めると、普段は聞きなれないような用語を多く耳にします。
せっかく資料を集めても、その言葉が何を表しているか分からないと「なんだかピンとこない・・・」ということに。特に断熱や気密性能に関する用語は、理解できると「住んでからの心地良さ」を判断する目安としてとても役立ちます。断熱・気密が優れている住宅はエネルギー効率が良いため、快適なだけでなくお住まいになってからのお財布にも優しいです。
今回はエネルギー効率の良い住宅かご自分で判断いただけるように、断熱・気密性能に関する用語を解説していきます。

目次

1.UA値とは？
.　1-1.どの部分の断熱性能なの？
.　1-2.「外皮」とは？
.　1-3.数字が小さいほど高性能
.　1-4. UA値の地域区分、どこに当てはまる？
.　1-5.省エネ基準の等級（断熱等性能等級）とは
.　1-6.どのくらいのUA値を目指すといいの？
2.C値とは？
.　2-1.C値で「住宅の隙間」がわかる
.　2-2.数値が小さいほど高性能
.　2-3.C値はどうやったら良くなるの？
3.まとめ

 

UA値とは？

UA値とは「外皮平均熱貫流率」のことで、住宅の「断熱性能」を表す指標の一つです。ここでは「外皮平均熱貫流率」とは何のことか、関連用語も含めてご説明します。

どの部分の断熱性能なの？

UA値（外皮平均熱貫流率）とは、『住宅内部から「床（基礎）」「外壁」「天井（屋根）」「開口部（窓・ドア）」などを通して室外部へ逃げる熱量』を外皮全体で平均した数値です。計算式だとこのようになります。

外皮平均熱貫流率（UA）＝熱損失量（W/K）÷外皮面積（㎡）
（室内外の気温差が1℃あったら、1㎡当たり何Wの熱が逃げるかを表しています）

「外皮」とは？

ここでいう「外皮」とは住宅の外周面（断熱ラインになっている面）のことです。例えば、住宅上側の外皮でいうと「屋根で断熱がされていたら、屋根面が外皮」となり「2階天井で断熱がされていたら、天井面が外皮」として扱われます。簡単なイメージでいうと「このラインから外側と内側では温度が変わるよ！という境界線が外皮」と思っていただければ大丈夫です。

数字が小さいほど高性能

外皮を服と考えてみましょう。真冬に「薄手の羽織」を着ているのと「ダウンコート」を着ているのではどちらが快適でしょうか。自分の熱が服（外皮）から逃げていかない方が、明らかに快適です。寒ければカイロ（暖房器具）で暖を取って凍えないようにしなければなりません。「ダウンコートなら1枚で済んでいたカイロ」が「薄手の羽織だと3枚貼らなければ暖かく感じない」のと同様に、住宅も熱が逃げれば逃げる分だけ（冬季なら）暖房費が嵩みます。

「UA値」は「どれだけ熱が逃げて行くか」を表す指標なので、
値が小さいほど（熱が逃げにくく）断熱性能（省エネルギー性能）が高いです。
まずは簡単に「小さい方が良い」とだけ覚えておきましょう。

 

UA値の地域区分、どこに当てはまる？

目指す基準となるUA値は地域ごとに異なります。つまり「UA値がいくつだと断熱性能の高い住宅と言えるか」は地域によってバラバラです。国土交通省では地域を8つに区分し、それぞれの基準値を公表しています。新潟県の県央周辺地域（ハンズワタベの営業エリア内）は「5地域」です（北海道の一部が「1地域」、沖縄は「8地域」）。詳しいエリア分類は国土交通省HP（※1：地域区分新旧表）より確認できます。

 

省エネ基準の等級とは（断熱等性能等級）

省エネ基準の「断熱等性能等級」では「数が大きくなるほど、性能が高い」です。
これまでの省エネ基準では「等級4」が最高等級でしたが、2022年4月改正の省エネ基準では「等級5」が新設され、さらに2022年10月に上位の「等級6・7」が新設されました。また2022年10月1日改正以降、長期優良住宅の条件が「断熱等性能 等級5以上」に変更されました。

 

どのくらいのUA値を目指すといいの？

例えば燕市は地域区分「5」なので、断熱等性能等級「5」を取ろうとする場合、UA値は「0.6以下」を目指す必要があります。
断熱等性能等級「6」ならUA値＝0.46以下
断熱等性能等級「7」ならUA値＝0.26以下　のUA値を目指します。

 

C値とは？

C値とは住宅の「気密性能」を表す数値です。机上の計算で出てくるものではなく「実際に建物で計測して初めてわかる実測値」であるところが特徴の一つとなります。ここではC値について、どういう読み取り方をすれば良いかをお伝えします。

C値で「住宅の隙間」がわかる

C値とは、家の大きさに対してどのくらいの隙間が存在するかを表した数値です。
計算式だとこのようになります。

C値＝住宅全体の隙間面積（㎠）÷延床面積（㎡）
例えば「延床面積150㎡の住宅の隙間を測ってみたら、150㎠あった」という場合は「150÷150＝1.0」で「Ｃ値は1.0」と表現します。

 

数字が小さいほど高性能

C値が小さいほど隙間が小さくなります。
つまりC値が小さくなればなるほど気密性能が高くなり、C値が大きくなればなるほど気密性能が低くなります。気密性を謳って家づくりをしている場合、Ｃ値は1.0以下であることが一つの目安と言われています（ただし明確な基準はありません）。
例えばダウンコートを着ていても、穴が開いていたら熱が逃げて（外気が入ってきて）しまいます。裏を返すと「Ｃ値が小さい（隙間の少ない）住宅」は外気の侵入を抑えることができるため、室内温度が一定に保たれやすくなります。余計な外気侵入がなければ、冷暖房効率が向上するだけでなく、外部からの花粉や埃なども入りにくくなり健康面にも良い環境を作ることができます。

 

C値はどうやったら良くなるの？

C値は建築現場で実際に計測した数値を元に計算を行います。つまり現場での施工技術に大きく依存する指標だということになります。気密をとるための現場施工の状態が良ければ当然良くなりますし、逆もしかりです。現場品質を確認する目安としても、C値は役立ちます（ただし家の形状がどういったものかによって「気密を取りやすいか否か」に多少影響が出る、という面もあります）。
ちなみに、ハンズワタベの現場では大工さんが隙間という隙間に念入りにコーキングを施している様子を目にすることができます（先日完工したばかりの当社EVERシリーズモデルハウス（*2）はＣ値＝0.2㎠/㎡をたたき出しています）。

 

まとめ

今回は断熱性能・気密性能に関する用語を説明しました。
「住んでから快適な家」を目指すためには、省エネ性能を高めるための「断熱性能・気密性能」への着目が欠かせません。平成28年省エネ基準、ZEH基準、HEAT20など、それぞれの基準が定められておりますが、検討しているメーカー（プランやグレード）がどの基準を採用しているかは一つ一つ自分で確認していく必要があります。
気になるメーカーがあったら「UA値はいくつくらいですか？」とお聞きになってみてください。例えば先日完成した当社EVERシリーズのモデルハウスなら「UA値＝0.23、ηAC＝0.9で、断熱等性能等級7（最高等級）」とお返事します。
上述したUA値やC値などを参考にしながら、どのメーカーに依頼するか、どの商品にするかを選択するようにすれば「なんとなく性能がよさそう」や「何となく有名だから良さそう」という選び方にならずに済みます。この記事が、ご納得のいく住宅性能を求める一助になれば幸いです。

〈参考HP〉
*1：国土交通省HP「地域区分新旧表」（https://www.mlit.go.jp/common/001500182.pdf）
*2：ハンズワタベモデルハウス（水道町モデル2023新築工事）の設計値です。同じシリーズでも物件ごとに性能値は異なります（住宅形状・開口部サイズ等が物件ごとに異なるため）。